つみかさね

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京都まみれ

書名:京都まみれ
著者:井上 章一
発行所:朝日新聞出版
発行年月日:2020年4月13日
ページ:248頁
定価:593円(税込み)
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かなり前に「京都ぎらい」で話題になった井上章一さんの最近の作品です。井上さんは京都の嵐山近くの右京区で生まれ育った事になっているので、洛内の京都人から言わせると京都の人ではない。そんな劣等感、反発からそんな京都人と称する人達に一矢を報いたのが「京都ぎらい」、京都人にいちゃもんを付けた本だった。

今回の「京都まみれ」は少し視点を変えて、京都-東京の二都物語となっている。明治維新の時に日本各地の地名をダイナミックに変更した。越後、越前、越中備前、備後などは全て中心は京都、それぞれ富山、岡山、兵庫。京都の田辺は舞鶴に、等片っ端から名前を変えた。でも何故か?東京(東のみやこ)と命名したのに、京都はそのまま、一時1870年(明治5,6年)頃から1790年頃まで京都を西京と呼ばれた時期もあったが、定着しなかった。今に残るのは西京漬け位か?京都府立西京大学(1949年)として創立された京都府立大学東京大学に対抗して西京大学。京都という自称?を東京の中央政府も認めたから今でも京都が残っている。
地方創生事業の一環で京都へ文化庁が移転することになったが、京都側からは「地方創生」ではなく、「地域創生」と言い換えを要求し、実際そうなった。「中央からの地方扱いが露呈する形はやめてほしかったということか」京都人のこだわりか?

練馬の隣に西東京市保谷、田無が合併して)というのが出来た。京都から見るとなんとも不思議な命名だと感心している。東の都が東京、そしてその西の市だから西東京市
銀座に銀座発祥の地という案内版がある。それをさして、銀座の発祥は現伏見区の銀座が本当の発祥地。東京の銀座は3番目に移転してきたところだと。また京都には何々銀座とか、何々銀座商店街というのはない。一時四条大宮に新宿商店街があった。(東京の京都進出か)でも阪急が四条河原町に延長されて、無くなった。

老舗の宿命では、京都に長く住んだ人でないとなかなか書けない話が出てくる。京町家のならぶ街中では、子息が京大にうかると周囲からあわれまれることがあるという。卒業すると京都にいつかず、跡取りがいなくなる可能性があるからだ。だから「ベストは同志社」だというのだ。
「わが家には、しかるべき由緒がある。息子を大学にかよわせて、のしあがらせなければならないほど、おちぶれてはいない。わが家に生をうけたというだけで、息子にはじゅうぶん値打ちがある。家柄をとうとぶそんな意識や、教育観をたもっていた」

因みに井上氏は京大出身、洛外だからこんな家でもなかったので、京大に受かったときに親戚からも喜ばれたと。最後の章に出自の告白があった。戸籍謄本を取り寄せたら、生まれたのが中京区になっていた。母親に聞いたところ、500m程行った産婦人科がどうも中京区だった。でも生まれ育ちは右京区、そして今は宇治市に住んでいる洛外の人だと書いていた。

有楽町西武が一時銀座西武と名前を付けようとしたとき銀座から猛反対でやむなく有楽町西武に。東京ディズニーランド東京国際空港に比べて格段に近いのに。銀座もこだわるのですね。前のオリンピックで東京の川、運河は高速道路になった。銀座八丁目の新橋よりは水の上、銀座九丁目は水の上(神戸一郎)と命名されてる。何故か新橋とは付けなかった。なかなか面白いエッセー集です。

最近は新しく出版される本も電子本にもなっているものが多い。この本も電子本で手に入る少しですが、安い。書店に行かなくとも直ぐに手に入る。タブレットにダウンロードすると、どんな厚い本でも同じ大きさ、何冊でも大丈夫、保管場所を気にしなくて良いので手軽に買える。一番気に入っているところは文字の大きさを調整出来るので、めがねいらずで読めることです。図書館に拡大本が置いてありますが、拡大率が一定ではなく、自分の目の調子に合わせて調整することが出来るのが良い。詠み上げソフトで読ましてみるのも良いがちょっと、読みが気に掛かるところもある。

『京都ぎらい』の井上章一さんによる、東京との二都物語 『京都まみれ』
https://books.j-cast.com/2020/05/13011665.html
井上章一著『京都まみれ』朝日新書 | 京都暮らしの日々雑感
https://ameblo.jp/sokuhan/entry-12592695888.html