つみかさね

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山本周五郎第三巻「松の花」「おさん」「雨あがる」

山本周五郎第三巻「松の花」「おさん」「雨あがる」
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書名:山本周五郎 作品集三 「松の花」「おさん」「雨あがる」
著者:山本周五郎
発行所:
頁数:124ページ
発売日:
定価:110円 Kindle


「松の花」
佐野藤右衛門は長年務めたお勝手係の役目を、老年をいたわるおぼしめしから解かれ、藩譜編纂の係を命ぜられた。以来自宅の書斎で下役の者達が書き上げた稿本に目を通し、時には朱を入れている。

稿本に朱を入れていると妻のやすの臨終が伝えられた。長年連れ添った妻は昨年の夏より治る見込みのない癌に冒されていた。妻が亡くなって判ったことだが、妻の死を嘆く家人や家士たちの姿、妻の手が荒れてざらざらしていることなど、みんなに形見分けとして妻の来ていた着物などを取り出してみても華美なモノはなにもなし、千石の家のモノとは思えない粗末なモノばかりだった。

藩譜編纂をして「松の花」という稿本を作っていたが、本当の藩譜はあらゆる苦難と戦った女性たちの烈女伝である。しかしいつの時代にもそれを支える土台となった、女性がいるはずだ。本当の烈女とは、そんな婦人たちを指すのだと思った。
表の歴史ではなく、影で支えていた妻のような女性達、婦人達を思わずにはいられなかった。

「おさん」
純真な心を持ちながらも、女の“性”ゆえに男から男へわたらずにはいられないおさん――世にも可愛い女が、その可愛さのために不幸にひきずりこまれてゆく宿命の哀しさを描いた『おさん』おさんと一緒にいたらおさんも自分も駄目になってしまうと西国に旅立った男、それを追わず、待たず、男から男へと渡り歩くおさん。奔放に見えるおさんだが、おさんなりの思惑が。

「雨あがる」
享保時代。長い大雨で川を渡ることができない川止めで、宿場町で足止めされて雨が止むのを待つ、武士三沢伊兵衛とその妻たよ。二人が宿泊していた宿には同じく雨の上がるのを待つ、貧しい人々で賑わっていた。貧しい中で客同士の些細ないざこざ、用意していた食事を食べたの食べないの。
そんな人々の姿にやりきれなくなった三沢伊兵衛は道場破りに行って稼いだ金で、みんなに酒や食べ物を振る舞った。
翌日、雨が上がって、近くを何気なく散歩していると、若侍同士の果たし合いに行き会った。一人の侍に数人で掛かっていく、一人はこのままでは直ぐ打たれてしまう。と感じた三沢伊兵衛は間に入って仲裁に努めるが、効かない、仕方なく刀を取り上げながら一人一人と対峙していく。そこにこの若者達の上司のような侍がやってきて、この騒動を治めてしまう。

後に藩主からに剣術指南番にならないかと持ちかけられる。そして仕官が叶うかに見えた三沢伊兵衛だったが、妻に固く約束して決してやらないと言っていた「賭け試合」「道場破り」のことが露見して仕官の道はなくなった。

雨も上がり、妻と二人で旅を続けていく。「虎を野に放った」と慌てた藩主は馬を飛ばして二人と追うが。